ついに来た。
この日が。
心の準備が現実に追いついてない。
全然。
全く。
今日処置して、明日には産んで、そうしたら体の中が空っぽになる。
病院に行かないといけないのは分かっているけど、すごく行きたくない。
朝、布団でそうたろうが泣いた。
「今日ではなとお別れなんだね。」
2日も私と離れるなんて初めての事だから、寂しいだろうに。
そうたろうも頑張って待ってるから、私も頑張ろうと少し勇気をもらった。
午前中、はんちゃんの入院中の食材を買いに買い物へ。
お昼はファミレスへ。
時間が少しずつ迫ってくることが全然受け入れれない。
ほんとに?
今日入院なの?
今お腹にいるのに明日にはいなくなるの?
グルグルと考えてしまう。
お店を出る時間になってしまった。
全然行きたくない。
移動中の車の中、心臓バクバク。
緊張が止まらない。
心の準備が全然できていないのに、現実だけが着々と進んでいくから焦る。
12時過ぎに病院へ着いたら、他の患者さんはすでに数人。
すぐに呼ばれた。
我が子をお腹から出す事を受け入れれてもいないのに、今から痛いの?という不安もあって、いっぱいいっぱい。
診察室のドアを開けて、先生の顔を見た瞬間に泣いた。
「怖いよう、やだよう、痛いの?」
と、大人げなく出だしから泣いた。
「怖くはないから大丈夫だよ。少しね、痛いけど、すぐ終わるから大丈夫だよ。」
心臓バクバクで内診台へ移動。
痛いのと、精神的なものと、両方の意味で泣いた。
足だってガクガクに震えた。
機械も痛いし、膣内の消毒も遠慮なく掃除される感じも痛いし、子宮口つままれるのが1番の激痛だった。
もう後戻りも出来ないんだ。
と思ったら、痛いのか悲しいのかよくわからない涙が止まらなかった。
処置が終わって、そのまま入院のため病棟へ。
ついに始まったんだという思いで、胸が苦しくて泣くのを止めれなかった。
泣かないように、泣かないように、となるべく我慢してるつもりだけど、全然だめ。
病室へ案内されて、これからの流れの説明をされただけでも、涙が止まらない。
次の処置がある夕方までゆっくり過ごすことに。
まだ棒が1本しか入っていないから、違和感はないけど、棒が入っていると思うだけで、違和感がある気がしてきて居心地が悪い。
頭に入らないけど、テレビを見るしかやる事がない。
夕方が近づくとまた心臓がバクバクして心が落ち着かなくなる。
18時頃。
コンコンとドアの音がした。
ついに来た!という思いで口から心臓出そうな程だった。
車イス登場。
前さやかに聞いた時、2回目の処置が痛すぎて、歩けなくて車イスに乗せてもらったよ。
というのを思い出した。
車イス=歩けないくらい痛いよ。
というアピールに思えて、不安で泣きそうになる。
乗りたくないけど、車イスで診察室へ。
また先生に、痛いかの確認をした。
「昼にやった処置よりは、棒の数が増えるから、痛いよ。」
と申し訳なさそうに。
昼の時よりは、事が進んでしまった以上少しは諦め心があって、泣かずに耐えれた。
痛みはかなりのものだったけど。
自分の手を思い切り爪でちみくって、こっちの方が痛い、こっちの方が痛い、
と気を紛らわせた。
待合室で待っててくれてたはんちゃんに、
「よく頑張ったね」
と言われて、やっと泣きそうになった。
病室に戻った後はゆっくりするだけ。
さすがに本数が多いだけあって、鈍痛がする。
尿道が棒で圧迫されて、尿がすごく出にくくてそれが辛かった。
明日の事を思うと不安で不安で、不安がつのればつのるほど、そうたろうに会いたくてしょうがなかった。
そうたに会って癒されたい。
寝れないかなーと思ったけど、意外と寝れるものだった。