切ない。
今日お風呂上がりにそうたろうと体をふきながら、
「先生さ、赤ちゃんいつ戻ってくるって言ってた?」
と聞かれた。
赤ちゃんの話題をあれ以来そうたろうとはしていないのに、突然でドキッとした。
「いつなのかは、先生もわからないみたいだよ。」
「ふぅーーん。忘れもの取りに行っただけでしょ?」
「そうだよ。忘れものしちゃったから、お空に帰るね。って。」
「先生って赤ちゃんの言葉がわかるなんてすごいね!」
「すごいよね。それが先生だよ。そうたろうは赤ちゃんに早く戻ってきてほしいの?」
「うん!だって早く赤ちゃんの顔が見たいもん。会いたいもん。」
「そーかぁ。じゃー早く戻ってきてくれるといいね。」
という会話をした。
正直、次の妊娠を考えるとすごく怖い。
ネットをいろいろ検索してた時に、”1度無脳症の子を妊娠すると、次また無脳症の子を妊娠する確率が通常の人よりあがる”というのを見た。
それがすごくひっかかっていて、先生にも確認した。
先生は、
「自分が産科医をやっていて、今までで無脳症の子を妊娠したお母さんはたくさんみてきた。
けど、次また無脳症の子を妊娠したお母さんは、私は見たことがない。」
と言ってくれた。
助産師の加藤さんも、
「ネットなんて見てはだめ!そんな事ないから大丈夫!今回は単発の事故にあっただけ。」
と言ってくれた。
でも、やっぱり、こんな事自分にも起こるんだ!というのを経験すると、別にめったにないからと言われても、その「めった」に自分が入るかもしれない。
と、普通に思う。
だから、次の妊娠を考えると怖い。
ネットで調べてる時に、無脳症以外にも色々な理由での中絶や死産がある事を知ったから、知識が増えたせいで怖い。
自分の年齢(33歳)を考えると、妊娠するなら立ち止まるわけにはいかない。
でも、怖い。
妊娠期間の10か月間が恐怖で仕方がない。
無事産まれるまで気が気じゃないだろうし。
と、考え出すとキリがない程怖い。
そんな時に、純粋に赤ちゃんが戻ってくると信じているそうたろうの目を見ると、立ち止まるわけにはいかない。
と思わされる。
立ち止まるわけにはいかない。
と自分を奮い立たせると、はんちゃんの、
「俺は、お前をこの世にまた呼び戻してやるとアイツと約束した。だから、絶対また呼び戻してやる。」
と言ってたのを思い出す。
呼び戻してあげたい。